オルビイス地球儀はイタリアの工場で製造しています。
イタリアのフィレンツェという都市にTecnodidattica S.p.a. (略「TDL社」)の工場があります。そこでオルビイス地球儀はつくられています。
工場の外観
製造現場の様子
特殊な技術で作られています。
TDL社が作る地球儀の地図はプラスチックで出来ています。このプラスチックの紙に印刷する技術、印刷されたプラスチックの紙を丸く成形する技術、これらがとても特殊な技術なのです。
世の中にプラスチック製品は数えられないほど多くあります。それらの中には何らかの文字や絵が印刷されている物もたくさんあるでしょう。しかしながら、次のような印刷条件が求められるプラスチック製品は地球儀の他にはないでしょう。
・完全な球体の形になる。
・複数の色が必要とされている。
・地図のように細かくて正確な印刷が求められている。
他の商品を作る技術で代用することが出来ないので、地球儀を製造するには専用の製造技術が必要となります。TDL社はこの技術で地球儀を製造するヨーロッパの最大手の企業なのです。
地図がプラスチックであることのメリット
TDL社が作った地球儀であれば、地図がプラスチックであることのメリットは「継ぎ目」が赤道だけにしか存在しないという点にあります。
通常の紙で作られた地球儀の地図は、北極から南極に向けて縦に複数の「継ぎ目」が存在するのは避ける事ができません。製造方法によっては、縦の複数の「継ぎ目」だけでなく、さらに赤道にも「継ぎ目」も存在している紙の地球儀もあります。
一方で、地図がプラスチックであることのデメリットは、通常の紙と比べて、鮮明な印刷が難しいことです。紙に印刷された物のより色合いが薄くなりがちです。
TDL社の強み
一般的に地球儀には「世界地図」(※)が必要です。TDL社は、オルビイス地球儀をはじめ、世界各地に多くの地球儀を提供しているメーカーなので生産する数が多く、比較的高価な「世界地図」をその地球儀に使うことができます。
少し話はそれますが、日本地図や都道府県の地図といったものは、作製者個人の感覚に頼るのではなく測量や航空写真など客観的な資料やデータに基づいて作成されていると私は信じています。たぶん皆さんも同じように想像していると思います。
しかしながら、地球儀に使われる世界地図においては、必ずしも測量や航空写真など全て客観的な資料によって作成されているとは限りません。昔は作製者個人の感覚に頼って描かれたような「世界地図」を使った地球儀も多く見られました。そのため、複数のメーカーの製品が並ぶ売り場で地球儀を見比べると、それぞれの大陸や島の形が異なっていたのも事実です。
その事実を発見するまでは、全ての地球儀メーカーが共通して使える正しい世界地図というのが存在しているものだと私は勝手に思い込んでいましたが、現実は各地球儀メーカーがそれぞれの製品に使うべく世界地図を独自に入手する必要があるのです。
私の見たところでは、地図帳など紙で出版される平面の地図をつくる業界では、地図作成に新しい技術が早くから導入され、デジタル化も比較的早い段階で進んだと思われます。一方の地球儀の業界では、その地球儀に使われる「世界地図」の製作に新しい技術の導入はなかなか進まなかった、というのが日本で販売されていた地図帳や地球儀を見ての感想です。
TDL社は、地球儀の業界のなかでは比較的に早い時期に、GISと呼ばれるデジタル技術を使って作られた世界地図を地球儀に使い始めています。これは精度が非常に高い地図です。そして2009年にはオルビイスも日本で、そのGISの地球儀の販売を始めています。
TDL社はGISシリーズ以外にも、様々なブランドの世界地図を地球儀に使っています。それはグローバルに展開している地球儀メーカーだからこそ可能なのだと言えるでしょう。